第二章 学園の王子さまは私の愛亀に夢中

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「位置について、よーい……どん!」  スタートの合図とともに、第一走者が走りだす。ちなみに、うちのクラスのトップバッターはるりだ。足が速くて羨ましい。  私の順番は、ちょうど全体の真ん中くらい。  つまり、なんの期待もされていない順序だ。 「一組ファイトーーっ」 「坂本さん、がんばれー!!」  ランナーを眺めながら、応援したり、冷やかしたりとみんな忙しそう。こんなにつまらなそうな顔で佇んでいるのは私ぐらいだ。  ぼーっと待っていたら、いつの間にか自分の出番がやってきた。 「はい!」  六組中の二位という中々のプレッシャーを感じるバトンを受けて、走り出す。抜かれても仕方がない。私の足の遅さは、練習で知られているわけだし。  気楽に、気楽に。  そう思ってはみても、クラス全員の視線が突き刺さってくるようで。三位の人に追い抜かされた時、鼓動が嫌な風に跳ねあがった。
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