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できる限り、迷惑はかけたくないな。
そんな弱気な思考がよぎって、つい、全身が余計に力んでしまった。
「あっ」
バランスを崩した身体が、宙に浮く。
次の瞬間、膝に焼けるような痛みが走った。
痛っ!
「おいおい、転んでんじゃねーよ」
「あーー、良い順位だったのにぃ」
「佳奈! 大丈夫!?」
遠くで、私の転倒が物議をかもしている。
やってしまった……。
無理をしなければ、ここまでの醜態はさらさなかっただろうに。
擦りむいてじくじくと痛む膝を抱えながら、どうにか立ち上がる。
それまで最下位だったクラスにも抜かされたけれど、痛みが酷くてもうそれどころではなかった。
力を振り絞ってなんとかバトンを繋いだら「お疲れさま。膝、お大事にね」と次のランナーが気遣ってくれたので、すこしだけ報われた気がした。
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