第二章 学園の王子さまは私の愛亀に夢中

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「うわぁ、大丈夫? めっちゃ痛そう……」  うずくまっていたら、血相を変えたるりが水場まで連れていってくれた。染みるのをこらえながら傷口を洗い流して、今度は保健室の前へ。 「ごめん、佳奈! このまま付き添ってあげたいんだけど、あたし、そういえばこの次の種目も出番だ」 「良いよ、気にしないで。むしろ、忙しいのにありがとうね」 「ううー、心配だよ。傷口深そうだから、ちゃんと手当てしてもらってね」  るりは何度もこちらを振り返りながら、校庭の方へと戻っていった。  ひりひりと痛みつづける膝を見下ろせば、気が滅入るような赤い血が流れている。  はぁ……。やっぱり、体育祭なんて嫌いだ。  うつむきながら、保健室の扉をノックする。  しーん。  返事がない。  もしかして、誰もいないのかな? 「あのー。失礼します」  疑問に思いながら戸を開けば、薬品の独特な匂いが鼻をツンと刺激した。洗いたてのような真っ白のカーテンが、ひらひらと揺れている。  いつもなら、保健室の先生が出迎えてくれるんだけど、ちょうど席を外しているのかな。
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