第二章 学園の王子さまは私の愛亀に夢中

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 それなら、仕方がない。  救急箱をお借りして、適当に処置しておこう。 「うわっ! ひどい怪我じゃないか!」 「へっ」  驚いた。  だって、誰もいないと思っていたのに、急にベッドの方から声がしたから。 「大丈夫? いや、どう見ても大丈夫ではないよね」  ベッドから飛び降りてきて、目の前に現れたのは―― 「転んだの? すっごく痛そう」  ――さえぎるもののないお日さまのように、美しい彼だった。 「王子、先輩」  メガネくんの堪忍袋の緒が切れたあの日から、ぱったりと生物室に顔を見せなくなったので、会うのは数週間ぶりだ。  久し振りに目の当たりにする先輩は、相変わらずかっこいい。  だけど、なぜか、ジャージではなく制服姿だ。 「立っているのも辛いでしょ? 早く、ここに座って」
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