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「王子くん! あたし、教科書忘れちゃったんだけど、良かったら見せてもらえない?」
「あっ、抜け駆けズルーい! ってゆーか、教科書忘れたって、嘘じゃん! ホントは持ってきてるけど、王子くんに見せてほしいだけでしょ?」
「えへ、その通りー! そしたら、眠い授業も頑張れるかもぉ?」
クラスの女子に近づいてこられた時、甘ったるい香水の匂いが鼻についたので、本人に気づかれないようにさりげなく距離を取った。
「あー……ごめんね? これ以上、先生に目をつけられたらさすがにマズいから、しばらくは真面目に授業を受けようと思ってるんだ」
「えー、ツレない~」
「ごめんってば」
「じゃあ、その代わりに今度の放課後遊んでくれる?」
「んー。考えとくよ」
適当に笑顔を取り繕ったら、彼女はうっとりとした顔をして引き下がった。
はぁ……やっとあきらめてくれた。
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