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作戦が功を奏し、断りづらい空気の真剣な告白は減ったものの、今度は『遊びでもかまわない』というチャラい女子が群がってくるようになった。
本気ではない分だけ、無下にはしやすくなったけれど。
疲れることに、変わりはない。
いっそのこと、笑いたくもないのに愛想を振りまくのをやめてしまえば、この状況は変わるのだと思う。だけど、どうにもあの『傷つけられた』というような顔が苦手で、強硬な態度が取れない。
この目立つ容貌に感謝していることといえば、『王子』だとかいうふざけた苗字でも、ネタにされず受け入れられていることぐらいだ。
それ以外で良いことなんて、一つもない。
数十分ほどトイレにこもってから教室に戻ると、誰もいなくなっていた。
「はぁ……」
ようやく、一人になれた。
安堵からため息が出てくる。
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