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「……先生も、まぁまぁイケメンだと思いますけどね」
「うっせえわ。お前に言われると、嫌みにしか聞こえねーよ」
本当に思ったから言っただけなのに。やっぱり、理不尽だ。
「っつーかさ、本気で彼女でも作ってみたら解決するんじゃねーの? お前がチャラチャラしてるから、女子も夢を見るんだろ」
彼女……。
考えたこともなかった。
こんな調子で、そもそも、まともに女の子を好きになれるのかな。
首を傾げたら、ふと、僕のことよりも脱走した亀に夢中だった彼女の姿が頭をよぎった。
黒髪セミロングで、校則を遵守したスカート丈の真面目そうな一年生。
あんな風に、女の子から、どうでもよさそうな態度を取られたのは初めてだった。
「お? もしかして、すでに気になる子でもいたりすんの?」
これを、気になるというのかはわからない。
そもそも、名前すら教えてもらえなかったし。
だけど。
逃げ出されると追いかけたくなるのが、人間の心理というものだ。
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