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十一月も下旬になり、吹く風が冬の厳しさを帯び始めたこの頃。
文化祭と体育祭という二大行事を終えて、校内には日常が戻ってきた。私も、生物部員として生き物たちを愛でながら、平穏な日々を送っている。
身の回りで変わったことといえば、
「見てよ、ほら。かめきち、僕の顔を覚えてくれたみたい」
今や王子先輩がすっかり生物室に馴染んでいるということだ。
「……すっかり、懐いていますね」
「あれ? 羽鳥さん、僕に嫉妬してる?」
「ウルサイですよ」
かめきちを筆頭に他の生き物たちも、私とメガネくん以上に先輩に懐いているような気がする。この人には、人間だけでなく、あらゆる生物をたらしこむ才能があるらしい。
うーん、なんか悔しいなぁ。
「先輩も熱心に活動されているのだし、そろそろ入部届を出して、本格的に生物部に所属したらどうだい?」
「あー……」
メガネくんの提案に、口ごもる王子先輩。
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