第三章 恋とはどういうものですか?

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 十一月も下旬になり、吹く風が冬の厳しさを帯び始めたこの頃。  文化祭と体育祭という二大行事を終えて、校内には日常が戻ってきた。私も、生物部員として生き物たちを愛でながら、平穏な日々を送っている。  身の回りで変わったことといえば、 「見てよ、ほら。かめきち、僕の顔を覚えてくれたみたい」  今や王子先輩がすっかり生物室に馴染んでいるということだ。 「……すっかり、懐いていますね」 「あれ? 羽鳥さん、僕に嫉妬してる?」 「ウルサイですよ」  かめきちを筆頭に他の生き物たちも、私とメガネくん以上に先輩に懐いているような気がする。この人には、人間だけでなく、あらゆる生物をたらしこむ才能があるらしい。  うーん、なんか悔しいなぁ。 「先輩も熱心に活動されているのだし、そろそろ入部届を出して、本格的に生物部に所属したらどうだい?」 「あー……」  メガネくんの提案に、口ごもる王子先輩。
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