第三章 恋とはどういうものですか?

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 身体中にまとわりついた汗の気持ち悪さで、目が覚めた。  朝から、嫌な夢を見たものだ。  おばあちゃんが亡くなってから、もう半年になる。かめきちの住処が、あの家から星燐高校の生物室に移って、それだけの日が経つということだ。  かめきちを高校の生物室で飼わせてもらえないかと、原先生に頼みこんだのも懐かしい記憶。当初は、私の家で引き取ろうとしたのだけれど、両親から却下されてしまったからとにかく必死だった。 『一生徒のペットを、学校で引き取るわけにはいかない』  最初は面倒そうな顔で追いはらわれたものの、どうしてもあきらめきれずに土下座をした。  そうしたら原先生は『はぁ……仕方ねぇな。あくまでも場所を貸すだけだぞ。誰にも迷惑をかけず、お前が責任をもって面倒を見ろよ』と渋々ながら了承してくれた。  後から、るりに聞いた話によれば、『大人しそうな羽鳥が、まさか土下座までするとは思わなかったからなぁ。あれには度肝を抜かれたわ。なんつーかさ、生徒がそこまで必死になってるのに、それすら叶えられない大人なんてみっともねーじゃん』と苦笑していたそうだ。  原先生は、生物に詳しいわけでも、愛着があるわけでもない。数ある部活の中でも生物部の顧問が一番楽そうだから、という身も蓋もない理由で生物部を選んだような人だ。  だけど、彼には感謝してもしきれないと思っている。
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