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「おはよう、るり……って、どうしたの」
教室に足を踏み入れて、そのまま、るりの机の前まで来てみたら。
「……あっ、佳奈だぁ。おはよ~……」
このままキノコでも栽培しはじめそうな暗い返事が返ってきた。
上半身を、だらりと机の上に投げ出している。
異常事態だ。
いつも元気いっぱいのるりが、こんなにしおれているなんて。
「今日の坂本さん、珍しく元気ない感じだね」
「体調でも悪いのかなぁ」
他のクラスメイトにまで心配される始末。
「なにがあったの」
「……実は」
手招きをされて、口元に耳を近づけると。
るりは、魂までこぼしてしまいそうなほどの、重いため息を吐いた。
「……真ちゃんが、数学科の早乙女先生と良い感じだって噂になっているの」
なるほど。
数学科の早乙女先生といえば、うちの高校きっての美人教師。歳も若く、たしか原先生と同世代だったような気がする。
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