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「入学して半年も経つのに知らないの!?」
「そこまで言う?」
「はぁー。佳奈は噂とかに興味がない子だってわかってはいたけど、まさかこれほどまでとはねぇ」
「私の持ちうる情報源って、主にるりぐらいだからね」
教室で、用事がなくても話すのは、るり一人。
生物部の活動の時は、大半が生物トークだからなぁ。
るりは「それにしても、人間に興味がなさすぎでは……?」とぼやきながらも、校舎から駅に向かうまでの間に解説してくれた。
「さっきのは王子先輩だよ。本名は王子慧、ニ年一組。見ての通り、芸能人顔負けの超絶イケメン! うちの高校の全女子が憧れている存在といっても過言ではないね。現にファンクラブまであるし」
「すごい人なんだね」
「そう、実際にすごい人なんだよ! 噂では、芸能事務所からもスカウトきてるらしいし。王子なんて、普通だったらネタにされそうな苗字だけど、先輩の場合はガチでリアル王子だから、すんなりと受け入れられちゃってるところもすごいよねぇ」
なるほど。
王子先輩って、通り名の類だと思っていたけれど、普通に本名だったんだ。
「るり、詳しいね」
「いやいや。星燐に通ってるなら常識だからね? 本当にいままで名前も聞いたことなかったわけ?」
「さぁ。あったような気もするけど、特別なイケメンだからといって、わざわざ見に行くようなこともしないし」
「さすがだなぁ。佳奈はブレないね」
「だって、失礼じゃない? 私だったら知らない人からいきなりジロジロ見られたくないし。それに、あーゆう目立つ人とは、むしろ関わりたくないから」
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