第一章 恋とは一生縁がないのだろう

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「入学して半年も経つのに知らないの!?」 「そこまで言う?」 「はぁー。佳奈は噂とかに興味がない子だってわかってはいたけど、まさかこれほどまでとはねぇ」 「私の持ちうる情報源って、主にるりぐらいだからね」  教室で、用事がなくても話すのは、るり一人。  生物部の活動の時は、大半が生物トークだからなぁ。  るりは「それにしても、人間に興味がなさすぎでは……?」とぼやきながらも、校舎から駅に向かうまでの間に解説してくれた。 「さっきのは王子先輩だよ。本名は王子慧(おうじけい)、ニ年一組。見ての通り、芸能人顔負けの超絶イケメン! うちの高校の全女子が憧れている存在といっても過言ではないね。現にファンクラブまであるし」 「すごい人なんだね」 「そう、実際にすごい人なんだよ! 噂では、芸能事務所からもスカウトきてるらしいし。王子なんて、普通だったらネタにされそうな苗字だけど、先輩の場合はガチでリアル王子だから、すんなりと受け入れられちゃってるところもすごいよねぇ」  なるほど。  王子先輩って、通り名の類だと思っていたけれど、普通に本名だったんだ。 「るり、詳しいね」 「いやいや。星燐に通ってるなら常識だからね? 本当にいままで名前も聞いたことなかったわけ?」 「さぁ。あったような気もするけど、特別なイケメンだからといって、わざわざ見に行くようなこともしないし」 「さすがだなぁ。佳奈はブレないね」 「だって、失礼じゃない? 私だったら知らない人からいきなりジロジロ見られたくないし。それに、あーゆう目立つ人とは、むしろ関わりたくないから」
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