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「よりにもよって早乙女先生とか……。なにそれ聞いてない強敵すぎる。なんなの、そんなに大人の色気が良かったわけ? ふんっ。どーせ、真ちゃんから見たら、あたしはお子様だよ~」
呪詛のように低い声でうなりつづけた後、るりは再び、机の上につっぷしてした。
「ううっ……もし、噂がホントだったら、どーしよ……。あたしの六年越しの想いが……こんな形で終わるなんて……そんなの嫌だぁっ」
なんて声をかけてあげたら良いんだろう。
まだ噂が本当だって決まったわけじゃないよ、と口にするのは簡単だけど。そんな軽い言葉では、なんの慰めにもならないよね。もしも噂が事実だとしたら、尚のこと。
だけど。
こんな時、私には、親友の気持ちに寄り添ってあげることもできない。
わかってもあげられないんだ。
「辛いんだね……。美味しいものでも食べて、元気を出そうよ」
ない頭を振りしぼってようやく出てきたのは、当たり障りのない言葉。
こんな自分が情けない。
「……はは。ありがとう、佳奈」
恋は、嵐のようだ。
うまくいかない。たったそれだけの理由で、それまで身体中にみなぎっていた生気すらも根こそぎさらってしまうなんて。
やっぱり、私に、恋は到底わかりそうにない。
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