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「へえ」
「みんなが自然にわかるはずのことが、私にはわからない。だから、どうして、親友があれほど落ちこんでいるのかもよくわからないんです……。だけど、わからないなりに、少しでも知りたい」
なまぬるい沈黙が流れた後。
頭上にやさしい温もりが降ってきた。
――あれ?
それが、先輩の手のひらだと気がついて、驚きに目をみはる。
「あっ……えと、ごめん。つい、その」
視線が交差して、先輩は慌てたように、手を引っ込めた。
えっ?
いまの、なに!?
先輩にとっては、たかがスキンシップ。
女子の頭を撫でるなんて、挨拶みたいなものなのかもしれない。
だけど、私にとっては、完全に未知の世界で。
動揺から口をぱくぱくとさせることしかできずにいたら、先輩は目元を和らげた。
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