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てっきり、先輩のことだから『やっぱりチャラいなぁ』と白けてしまうような回答が返ってくるかもと思っていたのに。
「先輩にも、そんな風に想う相手がいるんですか?」
彼は悪戯っ子のように笑って、長細い指を唇に当てた。
「さあね。それはひみつ」
望めばなんでも手に入りそうなこの人に、そんな切実な思いを抱かせる人がいるなんて信じられないな。相手は一体、どんな魔性の美人さんなのだろう。
「やあ、遅れてすまんね。思っていた以上に、日直の仕事に手こずってしまったよ」
あっぶな!
ついさっきまで、本気でメガネくんの存在を忘れかけたことを、心の中で平謝りしたのは内緒だ。
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