第三章 恋とはどういうものですか?

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 ✳︎✳︎✳︎  その日以降も、るりはしばらく部活に顔を出さなかった。  さすがに学校は休んでいないけれど、かなり無理をしていそうだと傍から見ていて思う。今日なんて、目が生気を失って落ちくぼんでいた。 「ねえ、かめきち。原先生の噂は本当なのかなぁ」  かめきちは、私の問いかけそっちのけで、与えた人参に夢中だ。 「亀に聞いたところで、わかるわけねーだろ」  なんと、噂をすれば張本人が登場!  白衣をなびかせながら訪れてきたその人を、この場所では久しぶりに見た。 「先生。ここでは、お久しぶりですね。何しに来たんですか?」  黒髪に、切れ長の瞳。身長もあり、黙っていれば普通にかっこいい彼こそ、我が生物部の顧問にして、るりの恋する相手。原 真司郎先生だ。 「教材準備に飽きたから、気分転換にな。今日は、羽鳥一人か?」 「そうですね。メガネくんは、今日は塾の見学だと言っていました」  そういえば、王子先輩も見かけないな。  まぁ、用事でもあるのだろう。 「へえ。ちなみに、坂本は?」
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