第三章 恋とはどういうものですか?

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 真ん中の空き椅子にどかりと腰かけながら、先生はさりげなく尋ねてきた。 「るりのこと、気になるんですか?」 「……別に? アイツも部員だから、いちおう聞いてみただけだよ」  口ではそう言っているけれど、その割に、片眉がぴくりと上がったような。  本当にどうでも良いと思ってるのかな。それにしては、ちょっとムキになっているような気がする。  甲羅の中に身体をひっこめて小さく丸まっているかめきちを眺めながら、ふっと思いついた。  この際だから、本人に真相を尋ねてしまおう。 「そういえば、先生。最近、生徒の間で噂になっているみたいですよ」 「はぁ。噂だって?」 「先生が、数学科の早乙女先生と良い感じらしいって」 「あー……その話か」  先生は長い脚を組みかえながら、後頭部をぽりぽりとかいた。 「つーか、羽鳥も噂話とかするんだな。なんか意外だわ」
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