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正確に言えば、その類の話はるりから聞くのがほとんどで、自分からはしない。でも、ここは濁しておくのが正解だろう。
「まあ、いちおう女子高生ですし」
「でも、羽鳥って、俗世とは遠い世界で生きてる仙人的な雰囲気あるじゃん? 達観してるよな、すでに人生二周ぐらいしてそう」
「それ、軽くけなしてませんか?」
「いやいや。つまりは大人っぽいってことだよ、喜びなさい」
「相変わらず、適当ですね」
「人生なんてかったるいもの、クソ真面目に生きてたら、すーぐ疲れちまうよ?」
にししと笑う先生を見ながら、つくづく思う。
この人、よく教員採用試験受かったなぁって。
「噂のことだけど、早乙女先生とは残念ながら特に何もねーよ。数少ない同世代の同僚だから、たまに飲みにいったりはするけど。その時、生徒に目撃されてたんじゃねーかな」
自分のことをまるで他人事かのように話す先生に、少しだけムッとしてしまう。その噂のせいで、るりは食欲もなくすほど落ちこんでいるのに。
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