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「事実無根なら、なぜ否定しないんですか」
「あのなぁ。俺は、あくまでも教師という立場なわけよ。生徒同士の会話に割って入って、わざわざ否定しにいくのもおかしいだろ。それに、こーゆーのは、否定するほど怪しく見えるもんだ」
「言われてみれば、たしかにそうですね。ごめんなさい、考えなしにモノを言いました」
「ふはっ、なにも謝る必要はねえけど。羽鳥ってほーんと真面目だよな」
なぜだろう、さっきからまったく褒められている気がしない。
それはさておき、このままだと肝心なことを煙に巻かれてしまう予感がする。逃げおおせられる前に、もう一歩、踏みこみたい。
「そうはいっても、先生には誤解されたままでは困る人もいるんじゃないですか?」
「はあ? ……別に、いねーけど?」
あっ。
今、片眉がぴくりと動いた。
もう一押し、してみよう。
「話は変わりますけど、るりって本当にモテるんですよねぇ。かわいいですし」
「いきなり話が変わったな」
「先生、三年の千賀先輩ってわかりますか? あの明るい茶髪のチャラそうな」
「あー、有名だよな。主に悪い方の意味で」
三年の千賀先輩といえば、そこそこ顔がよく、彼女をとっかえひっかえしていることで有名。
「るり、この前、その人に告白されたみたいなんですよ」
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