第三章 恋とはどういうものですか?

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「事実無根なら、なぜ否定しないんですか」 「あのなぁ。俺は、あくまでも教師という立場なわけよ。生徒同士の会話に割って入って、わざわざ否定しにいくのもおかしいだろ。それに、こーゆーのは、否定するほど怪しく見えるもんだ」 「言われてみれば、たしかにそうですね。ごめんなさい、考えなしにモノを言いました」 「ふはっ、なにも謝る必要はねえけど。羽鳥ってほーんと真面目だよな」  なぜだろう、さっきからまったく褒められている気がしない。  それはさておき、このままだと肝心なことを煙に巻かれてしまう予感がする。逃げおおせられる前に、もう一歩、踏みこみたい。 「そうはいっても、先生には誤解されたままでは困る人もいるんじゃないですか?」 「はあ? ……別に、いねーけど?」  あっ。  今、片眉がぴくりと動いた。  もう一押し、してみよう。 「話は変わりますけど、るりって本当にモテるんですよねぇ。かわいいですし」 「いきなり話が変わったな」 「先生、三年の千賀先輩ってわかりますか? あの明るい茶髪のチャラそうな」 「あー、有名だよな。主に悪い方の意味で」  三年の千賀先輩といえば、そこそこ顔がよく、彼女をとっかえひっかえしていることで有名。 「るり、この前、その人に告白されたみたいなんですよ」
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