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嘘は言っていない。
告げているのは、あくまでも事実のみ。
「……へえ?」
おお、声のトーンが低くなった。
あからさまな態度の変化に頬がゆるみそうになるのをこらえながら、さらなる攻めの一手を放つ。
「るり、なんだか最近やたらと落ちこんでいるようだし。もしかすると、傷心につけこまれて、あの先輩と付き合ってもおかしくはないかもなぁ」
ガタリ、と。
先生は、いかにも『虫の居所が悪いです』という顔をしながら、立ち上がっていた。
「……あの軽薄野郎だけはダメだ」
「はい?」
「良いか、羽鳥。俺は、一生徒の交際事情に首をつっこむ気はない」
「はぁ」
「だがな、相手が千賀となると話は別だ。アイツは校内の風紀を乱しかねん。今まで散々やらかされて、俺ら教師もほとほと困っているんだ。そろそろお灸を据えにゃならん」
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