第一章 恋とは一生縁がないのだろう

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 なまぬるい風が、私たちの制服のスカートを揺らしていく。  るりは、理解できないというように首を傾げた。 「なんで? あたしは、お近づきになれるものなら、なってみたいけどなぁ。単純に目の保養になるし」 「いかにも、そう考える人が多そうだからだよ」  だって、学校内の全女子の憧れなんでしょ?   つまり、彼とお近づきになるということは、そのまま全員を敵に回すということだ。  私は、目立たず、波風を立てない学校生活を送りたい。生物室で、のほほんと生き物たちを愛でている時間がなにより幸せだから。  現状に満足している。  るりと、生物オタクトークができるメガネくんと、たまに顧問の原先生。  これ以上の交友関係は、望んでいない。 「それにあの先輩、なんかチャラそうだし。誰か一人を特別にする気はない、とか言ってなかった?」  実は、あの台詞で、心に吹雪が舞いこみ一気に白けてしまった。  私にとって、恋は未知の分野だ。  人様の恋愛事情に口出しする気はないし、そもそも興味もないから、厳密に言えば勝手によろしくやっていてくれという感じだけれども。  るりの話を聞くと、切実な想いなのだろうとは思う。  一生懸命な気持ちをもてあそぶような行為は、単純に嫌だ。
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