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「やあ。羽鳥さん、今日は一人なの?」
「うわ! えっ、先輩?」
原先生が去っていってから、数十分後。
いつものように裏口から王子先輩が顔を出して、ものすごく驚いた。
「今日は、遅かったですね。もう来ないだろうと思っていましたよ」
「あー、ちょっとね……。今日は、白鳥さんに捕まっちゃったから」
白鳥さんというと、黒髪ストレートの美人な先輩か。
「それなのに、生物室なんかに来てしまって、良かったんですか?」
デートに誘われたのなら、そっちに行っても良さそうなものだけど。
首を傾げると、先輩は近づいてきて、ふわりと笑った。
「もちろん。だって、会いたかったから」
っ。
違う。今のは、『私に』という意味ではない。
先輩はあくまでも『かめきち』に会いに来ているのだから。それなのに、なにを一人で焦ったりしているのだろう。
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