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とんでもない近距離になってしまい、今度は別の意味でめちゃくちゃ動揺。
うわあああ!
慌てるあまり、大変なことをしてしまった!
「ご、ごめんなさいっ! わ、わ、私……雷、苦手で」
早く離れなきゃ。
そう思って、距離を取ろうとした矢先。
――ゴロゴロドッカーンピカーーーン!
「ひっっ」
まるで空気を読めない雷が、教室の床をびりびりと震わせる。怖くて仕方がなくて、もうそれ以外のことはなんにも考えられなくて。
気がつけば、先輩に助けを求めるようにしがみついていた。
「雷、怖いの?」
答える代わりに震えながらうなずくと、先輩は、そっと私の肩を抱いた。
「そっか。離れようとしないで大丈夫だから、落ち着こう?」
もたらされる温もりに安心して、身体の震えが、少しずつおさまっていく。
雷を契機に、雨がざあああっと激しく降りはじめた。
「急だったね。今日は、こんな予報じゃなかったのに」
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