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やばい。慌てすぎた反動で、先輩を突き飛ばしてしまった。
「ちょ、急に突き飛ばさないでよ」
「だ、だってっ。あ、あんな態勢ではいられないじゃないですかっ」
気まずい沈黙が落ちる。
「……そう? 嫌だったなら、ごめん」
先輩が、さびしさを押しこめたような顔で、笑おうとするから。
たまらないような気持ちになったんだ。
「あ、謝らないでくださいよ! どうして先輩が謝るんですか!」
急に怒りだした私に、先輩は大きな瞳をぱちくりとさせた。
「は?」
「だって、先輩は、なんにも悪くないじゃないですかっ! わ、私が、てんぱって子供じみたことを言っているだけなんだから、そういう時は、ちゃんと怒ってくださいよ!」
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