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ああ、もう。
どんな逆ギレだよ……自分で自分にあきれてくる。
何を主張したいのかもよくわからなくなってきて、ただ、すねた子供のようにむっつりと唇を引き結ぶ。
しばらく経って、くすくすと鈴を鳴らしたような笑い声が転がってきた。
「ふふっ」
「な、なにがおかしいんですか!?」
「だって。こんな時でも真面目な羽鳥さんがおかしくて。かわいいなぁ」
…………。
かわいい!?
いや。今のは、あえて聞こえなかったことにしておこう。王子先輩は言い慣れていて、どうせ大した意味もないんだろうし。
「わ、笑わないでくださいっ!」
「はいはい。ふふっ」
それからも、なにがツボに入ったのか先輩は愉快そうに笑いつづけていた。
いつの間にか空模様も、彼の上機嫌を祝福でもするように、雨があがっていた。
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