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肌を震わせる、寒い風が吹きすさぶようになった十二月初旬。
事は、あまりにも唐突に起こった。
放課後になって、意気揚々と生物室に向かったまでは良かった。
だけど、私は、愛しのかめきちのケージの前で立ち尽くすことになる。
「佳奈? どうかしたの~?」
背後から声をかけてきたるりに、返答する余裕もなかった。
だって……かめきちが、まったく動いてくれないのだ。
餌をあげても。
頭をつついても、持ち上げてみても、だらりと伸びているばかり。
ぴくりとも、反応しない。
こんなの、まるで……。
足元から這いのぼってくる黒い霧のような不安に、息がつまる。
「愛しのかめきちが、どうかしたの~?」
るりが、近づいてくる。
お願いだよ、かめきち。
るりの前では、いつもみたいに元気に振舞って。
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