第四章 ある寒い冬の日のこと

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「……突然、だったな」  原先生の取り計らいで、かめきちのご遺体は、学校の敷地内に土葬させていただけることになった。  体育館隣の、小さな池がある緑の広場。  かめきちを埋めるための穴を掘る間、なにも感じ取れなかった。  今まさに、この子を土に還すための穴を掘っているだなんて。そんなことは信じたくなかったんだ。  駆けつけてくれた原先生をあわせて五人。  その全員が、沈痛な面持ち。  深く掘った穴の中に石灰を撒き、タオルにくるんだかめきちのご遺体をそっと横たえる。そのうえに再び石灰を撒いて、今度は掘り返した穴をふさぐように埋めていく。  みんなに見守られながら、ロボットになったように粛々と。  冬の凍える風が、集まった私たちの間を通り抜けていく。
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