45人が本棚に入れています
本棚に追加
/198ページ
夢中で走ってたどりついたのは、屋上前の階段。
一度足を止めたら、どっと疲れが襲ってきて、電池が切れたように座りこんだ。
さっき、この手で、かめきちを土の中に埋めたんだ。
信じられないけれど、手に付着した砂埃が証明している。
「はぁ、はぁ」
遠くから、誰かの息を切らした声。
「……やっと、見つけた!」
階段下から響いてきたよく通る声に、この耳はいつの間にか馴染んでしまった。明らかにこちらへと向かって大きくなっていく足音に、顔を上げる気にもなれない。
「羽鳥さん」
無視を決めこんで膝に顔をうずめたら、王子先輩は私の隣へとやってきた。
「みんな、心配しているよ」
最初のコメントを投稿しよう!