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「一人に、させてください。今は、誰かと話す気力もないんです」
「うん……。とても、辛いよね。君は、物心ついた時からかめきちと一緒だったんだもの」
彼の言葉が、胸にざわざわと波紋を呼び起こす。
辛い。
そう、辛いはずなんだ。
それなのに、どうして、私の心は震えないんだろう。
荒野のように、ただ虚しいばかり。
私の心が、欠陥品だから?
「……悲しいのかな。それなら、どうして涙の一つも出てこないんですかね」
返事を求めているわけじゃない。
ただ、こぼさずには、いられなかったんだ。
コップから水があふれ出るように。
「昔から、情に薄いというか、淡泊だった自覚はあるんです。周りの子たちがはしゃいだり騒いだりしているのを、理解できないという気持ちでぼんやりと眺めてた。その程度なら、まだ個性のうちだと言えたのかもしれないですけど……私は、春におばあちゃんが亡くなった時でさえ、泣けませんでした。あんなにかわいがってもらっていて、私自身も、大好きだと思っていたのに」
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