第四章 ある寒い冬の日のこと

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「他人からどう見えるかは、この際、関係ないんだよ。君自身が感じていることが全てで、真実なんだ」  恐る恐る、それまで上げられずにいた顔を持ちあげると。 「やっと、僕の方を見てくれたね」  王子先輩は宝石のような瞳を細めながら、口元をゆるめた。 「……っ」  ――なんだろう。  眩しすぎて、直視できない。 「ん? 僕の顔、なにかついている?」  見当違いなことを言って首を傾げている先輩が、きらきらとして見える。  いや。先輩が見目麗しいことなんて誰の目から見ても明らかで、私だって『だから、なに?』と思っていたのに……。  どうして、こんなに心がそわそわするの?
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