第四章 ある寒い冬の日のこと

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 こんなに近い距離にいることがとてつもなく恥ずかしいことに思えてきて、胸がぎゅううっと締めつけられたようになる。 「羽鳥さん?」  固まる私を不審に思ったのか、先輩の整った顔が近づいてきて。 「……っ! あっ……えと、その。ありがとうございました」 「すこしは落ち着いた?」 「はい……。あの……先輩。すみませんが、その……腕を、離してはいただけませんか?」  ダメだ。  先輩に見られていると思うと、息が浅くなって、無性にドキドキとする。  私、さっきから、すごくヘンだ。  まるで、自分が、自分でなっていくみたい。
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