間章その2 王子さまの恋煩い

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 僕、王子慧には、最近気になっている女の子がいる。  真面目そうで、きっちりとしているところまでは、見た目どおり。  話すと、かなりサバサバとした感じの子だ。  大の生き物好きで、とりわけ亀を愛している。  彼女の名前は、羽鳥さん。生物部所属の一年生だ。 『はぁ。えーっと……先輩、また来たんですか?』  羽鳥さんは、僕には素っ気ないけれど、生物室の生き物たち相手にはうんとやさしい顔をする。僕としては、もっと彼女と話をしてみたくてけっこう必死なのだけど、いつもなにかとクールにあしらわれている。  そもそも、女の子から冷たい態度をとられること自体が新鮮だった。それで、最初は、ただ興味深かっただけなんだけど……。  知れば知るほど、目が離せなくなっていく。  先日、そんな彼女から唐突に、こんなことを尋ねられた。 『王子先輩。恋とは、どういうものなんでしょうか?』  まぁ、噴き出したよね。
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