間章その2 王子さまの恋煩い

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 羽鳥さんへの想いは、日に日に色づいて、膨らんでいった。  十二月に入り、吐く息が白くなるほど寒くなった近頃は認めざるをえない。  あー、めちゃめちゃ好きだなぁ、と。  だからついというわけじゃないけれど、先日、勢いあまって抱きしめちゃったんだよな……。 「……付き合っているわけでもないのに、アウトだったかな」  決して、下心があったわけじゃない。  いや、完全になかったのかと言われると、口ごもってしまうけど……。  なによりも、羽鳥さんを元気づけたいという気持ちが確かだったのは、嘘じゃない。あの日の彼女は、大切にしていた愛亀をうしなって、魂が抜け落ちたような顔をしていたから。  お節介だったかもしれないけれど、どうしても放っておけなくて。  観念したように、彼女が心の内を吐き出してくれた時には、心の底から嬉しくて、同時に、伝えたいという気持ちがあふれてきた。  まじめすぎるからこそ、泣けない自分に苦しんでしまった彼女に。  君は、こんなにも胸を痛めているじゃないか、って。
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