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羽鳥さんへの想いは、日に日に色づいて、膨らんでいった。
十二月に入り、吐く息が白くなるほど寒くなった近頃は認めざるをえない。
あー、めちゃめちゃ好きだなぁ、と。
だからついというわけじゃないけれど、先日、勢いあまって抱きしめちゃったんだよな……。
「……付き合っているわけでもないのに、アウトだったかな」
決して、下心があったわけじゃない。
いや、完全になかったのかと言われると、口ごもってしまうけど……。
なによりも、羽鳥さんを元気づけたいという気持ちが確かだったのは、嘘じゃない。あの日の彼女は、大切にしていた愛亀をうしなって、魂が抜け落ちたような顔をしていたから。
お節介だったかもしれないけれど、どうしても放っておけなくて。
観念したように、彼女が心の内を吐き出してくれた時には、心の底から嬉しくて、同時に、伝えたいという気持ちがあふれてきた。
まじめすぎるからこそ、泣けない自分に苦しんでしまった彼女に。
君は、こんなにも胸を痛めているじゃないか、って。
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