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「へえー。王子くんは、付き合っているわけでもない女の子に一体ナニをしちゃったのかな?」
うわっ!?
「ほれ、せんせーに話してみ?」
放課後になり、女の子たちからの逃れるようにして男子トイレに隠れてから、誰もいなくなった教室に戻った後。先日の屋上前での一件を思い出してしまい、悶々としていたら、目の前に原先生が現れた。
「……盗み聞きはやめてください」
「いや、盗み聞きもなにも、ふっつーに聞こえてきたからな」
あー、うかつだった……クソ、めちゃめちゃニヤけられてるじゃん。
「話してさえくれたら、せんせーが客観的に判断してやるよ?」
ええい。
どうせ、聞かれてしまっているんだ。
今更取り繕ったところで、どうしようもない。
誰でも良いから話を聞いてほしいという気持ちも手伝って、気がつけば、先日の一件を打ち明けてしまっていた。
「なるほどねぇ」
先生は、両腕を組みながら、神妙な面持ちをしてしっかりと聞き届けた。
すがるような気持ちで、返答を待つ。
「っっ、あー、もう笑いこらえんの無理! お前って、顔に似合わず、マーージでピュアなんだな! ひいいっ、腹が痛ぇ」
……この人に相談しようと思った数秒前の自分を殺したい。
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