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机に置かれた、小さなハーバリウムには、一枚の花びらが入っている。
悠希がくれた最期のプレゼントだ。
このハーバリウムが忘れ去られる頃には、私も悠希と同じ場所にいるだろう–––
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「余命10日、なんだ。」
彼の放った言葉は、私の頭をフリーズさせるくらい、冷たい氷のようだった。
長い沈黙。私は、彼の長い睫毛が水滴で濡れていることに気づいた。
「––––––怖い?」
やっとの思いで声を出す。
伏し目がちだった目が、ハッと見開かれた。
多分、私の第一声が「怖い?」だったことに驚いているのだろう。
「怖くない。って言ったら嘘になる。だからね未來、僕の『最後のお願い』聞いてくれないかな?」
「悠希の最後のお願い?聞くしかないじゃない。」
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