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「最後に使ったのは、いつか覚えてる?」
アレンは順序立ててスマホの追跡を始める。
「昨日の夜ご飯の時にレシピを見てたはず……。ほら、鶏のキジ焼き丼を作ってたから……。で、完成間際で勝手に電源が切れて……。」
「ああ、そうだったね……。でも、鶏のキジ焼き丼のレシピだったら僕に任せてくれても良かったのに……。」
彼女の役に立ちたかったアレンなりの嫉妬心だ。しかし……。
「いいでしょ、私が自分でレシピを見て作りたかったんだから。」
彼女がそれを望むのだから仕方ない。アレンは自分の気持ちを抑え、冷静に事を進める。
「……はいはい。で、その後は何をしたか、順に話してくれるかな?」
「えっとー、キジ焼き丼食べながらテレビ見てー、お風呂入ってー、髪乾かしがてらにテレビ見ながらお酒飲んだ。ストロング系のレモン!」
少しばかり彼女のテンションが上がる。よっぽどお酒が好きなのだろう。
「……でそのままテーブルで寝ちゃった……。」
彼女は恥ずかしそうに、そう付け加えた。
「……それで、朝になってスマホを見ようとしたら見つからなかったと。」
「……。」
アレンの言葉を、彼女は無言で肯定をする。
「てか、それだけのんびりしてたなら、なんで充電しなかったの!?」
「だってー!キジ焼き丼美味しそうで早く食べたかったからー!」
その奔放な性格がアレンの知る彼女の持ち味だ。
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