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まさか前日に婚約破棄なんてこと……。ますます焦りが募って、入り混じった感情が、喉からこぼれ出る。
「だいじょーぶ! もう妄想癖はないよ。だって……、そりゃしばらくはイマジナリーフレンドのことばかり考えていたけど。達也と会ったときは……なんか、運命的な何かを感じたんだもん」
「そりゃ運命だろ」
達也があたしを撫でる手を止めた。ゆっくりと、目を合わせてきた。告白してきた時と、同じ目。真剣だった。
「あの交通事故の時。鬼は、向かってくる車の運転手がもう死んでいることに気づいた。鬼は女の子を助けるため、死に物狂いで車の中の身体に乗り移った。そしてハンドルを切って、女の子はひかれずにすんだ。鬼は、それからずっと女の子と普通に出会えるのを待っていたんだ……」
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