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「そうそれ」
あたしの頭を撫でてくる、達也の手。力ある指先が、ひとつひとつ、あたしの髪に絡んでいく。
「たしか、そのイマジナリーフレンドって、桃太郎の襲撃にあって鬼ヶ島から逃げてきた鬼、だったっけ。でも、交通事故でユカを守って消えちゃった」
「あー、もうやめてよ。恥ず」
とか答えながらも、目を閉じるとイマジナリーフレンドの「鬼」と出会った時のことが鮮明に思い出されていった。
小学1年生の時。父が亡くなったばかりで、母が仕事に家事に一番忙しかったころ。あたしは家で、ひとりぼっちなことが増えた。学校でも学童でも友達とは話さなくなっていった。友達はどんどんあたしから離れていき、あたしはますますさみしい子になったっけ。
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