初恋は、イマジナリィ・フレンド

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 もちろん周りから見たら一人で笑っているのは変だから、口を両手で覆って、こっそりと。 「なに笑ってんだよ」  鬼は、その度につっかかってきた。 「だってなんだか、パパみたい」 「ああ!?」  家に帰った後、我慢していたぶん笑い転げた。鬼はパパと似ているというたび、なぜかふくれっつらをした。それがまた、おかしかった。  鬼は、あたしが小学校6年生になってもまだ意識の中に居続けた。 「鬼ヶ島ってどこにあるの」  卒業も控えた日。公園の桜のつぼみをつまみながら、ふと聞いてみた。周りからは、桜の木に話しかけていると思われていただろう。 「どこにあったっけなあ。忘れちまったよ」 「帰りたいと思わないの」  もう6年間もあたしの意識の中にいて。あたしの意識、楽しい? 聞くと、
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