初恋は、イマジナリィ・フレンド

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「そもそも魂だけ帰ったって意味ねえよ。完全な依り代がなくちゃなあ」  鬼は、あくびをして答えた。 「依り代って、どんなのがいるの」 「形のねえ魂は、なんにでも入れるよ。風とか、虫とか、木とか、花とか、動物とか」 「いっぱいありそうな気がするけど」 「いいのがねんだよ」  鬼は桜のつぼみの向こう、まるで依り代を探すように、どこか遠くを見つめた。  あたしが事故にあったのは、その後のことだ。  公園から帰る途中、鬼と出会ったあのあぜ道を歩いていた時だった。 「あ、車」  鬼の声が聞こえた。鬼は、この道になるといつにもまして口うるさくなるのだ。でも、あたしはもう小学6年生だったから
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