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第十二話 ココはどこ?
(私のステータスも久しぶりに見ていいかしら?)
『うむ……今【裏】になるからちょっと待っておれ……よしっこれでいけるじゃろ』
「あうーあうあ・あーうあ!」(ステータス・オープン)
――――――――――――――――――――
名前:ルーララ・フォン・オフィウクス(オフィウクス王国第1王女、転生者)
年齢:1歳
性別:女
レベル:10
HP:10
MP:30
攻撃力:1
防御力:10
魔力:30
素早さ:10
運:1
装備:豪華だけの趣味が悪いよだれかけ・改
:花水木な香りのおむつ
:洗濯したらなんかいい感じに所々色落ちした、
悪徳商人に旨い事騙されて買った成金趣味のベビー服(布袋柄風)
:結界の指輪
スキル:コンティニュー(ユニーク)10/10
:念話スキル:Lv2 ←New
:風魔法スキル:Lv1ウインドカッター
Lv2ワイドウインドカッター
:サーチスキル:Lv2 ←New
:召喚魔法スキル:Lv1転移召喚
称号:【異世界転生者】、【元OL】、【ネネ大好きっ娘ちゃん】
【勇者の自称婚約者】
――――――――――――――――――――
(おお、出てきた。あっ【コンティニュー】の回数が戻っている!! よかったぁ、そして私にも称号があるのね)
『おお良かったのぅ』
(ってか、魔王さんと比べて私のステータス……、ショボすぎませんか? レベルは同じなのに……)
『そうなのか? 人間族の赤子のステータスを見るのはわらわも今回が初めてじゃしのぉ』
(まあ普通そうですよね、赤ちゃんが【ステータス・オープン】とか言わないですもんね。)
『まあステータスを見る【魔道具】はあるんじゃがな、わらわ達魔人族も赤子の時に使ってどんな能力や魔力を持っているか調べたりするんじゃよ』
(ああそう言えばそうですね、きっとよくラノベで見る水晶とか石板とかに魔力を流して判定するやつですよね……でも赤ちゃんが魔力の流し方とかわかる――)
『ん? どうしたんじゃ? 急に黙りこくって?』
(あのぉ……魔王さんの部下に盗賊ゾンビとか居ます?)
『ん?』
(もしかしてなんですが、そのぅ、この前私たちが乘っている馬車が盗賊ゾンビに襲われたのって私の体の中に魔王さんが居たから……では?)
『じゃろうな、この体の中にわらわの魔力を感じて奪い返しに来たんじゃろ、ココは、戦いは苦手じゃがわらわを見つけることに関しては魔人族の中で1位じゃからのう、かくれんぼも強かったわ』
(やっぱり……あの時来ていた魔人族ってココさんだったんだ……でもココさんはもう勇者様に……)
『ああ、大丈夫じゃよ、ココの奴はうまく【転移の石】を使って逃げたんじゃろ、わらわにはなんとなく分かるんじゃよ』
(ほんと? 良かった……)
『じゃが盗賊ゾンビはわらわの部下ではないぞ、わらわを、お主を殺したアホな奴もおったじゃろ?』
(ああ……思い出したくないけど居ましたね)
『知能が低いゾンビなのかココの命令の仕方が悪かったのかは知らんが、まああの騎士団長みたいな2次感染者はそもそも例外じゃがのぉ』
(でもそのココさんって魔王さんの話に聞いていた感じとは違い、結構えぐいスキル持っているんですね、確か勇者様は【死者の従属】とか言っていた気が)
『【死者の従属】? そんな名前じゃったかは忘れたがあれはわらわがココの為に作った【能力を得れる水晶】で得た能力じゃろ。そうじゃ! その時のわらわの可愛いココの話を聞かせてやろう! 聞きたいじゃろ、仕方がないのぉ』
(えっ?)
嬉しそうに魔王さんはココさんの話を始めた。
~魔王の回想 魔王視点です
わらわが職務をさぼりたい時によく行っていた別荘のある無人島にいつもの様にメイドのココと2人で行った時のことじゃった。
わらわは【リクライニング サマーベッド】に寝転がり、優雅に【トロピカルジュース】を飲んでいたら、掛けていた【サングラス】がズレ落ちるほどのココの高笑いする声が遠くから聞こえてきたんじゃ。
ニャハッニャハッニャハッニャハッニャハッニャハッニャハッ!!
「こっちもニャ、こっちにもニャ、まだまだニャ、全部ニャ、全部ニャア、ああ…」
なぜか笑い声が止まり……そしてココはわらわの所に猛ダッシュして来てこう言ったのじゃ。
「ニャァニャァニャァ!! 魔王様、ココはお魚さんが大好きニャァ、世界中で一番好きニャ! でもココがお魚さんに近づくとお魚さん達は逃げて行ってしまうニャ……ココは寂しいニャ……」
「まあそれは仕方がないのじゃ」
「ニャ……でもでもココはお魚さん達とお友達になりたいのニャァ」
「お友達じゃと?……食べるのではなく?」
「ニャア? 食べるニャ、だってお魚さんは美味しいニャア! ちなみにさっきも食べたのニャ……数は丁度11匹ほどニャア」
「もしかしてさっき聞こえた笑い声は大量に魚を食べていたからかぁ?……ココよ、普通お友達を食べちゃダメじゃろ……」
「そうニャのか? 難しくて猫にはよくわからないニャァ……」
ふむっ、確かにココには難しいじゃろう。じゃがわらわはココのお願いは大概な事は叶えてやりたかったので、ココから魚が逃げないような能力を与えてやろうと思ったのじゃ。
わらわは【亞空間ボックス】から色々使えそうな材料を取り出し――。
「ニャァニャァ? 魔王様、何を始めるのニャ?」
「まあ見ておるのじゃ……後は……最後にわらわの血を少々加えて【錬金スキル】【能力を得れる水晶】作成!!」
ピカッ チャッチャラー♪
「すごいのニャ、何か綺麗な球が急に現れたのニャ! コロコロしたいのニャ、ココの新しい遊び道具かニャ? 体が勝手に動くのニャァァァァ」
コロコロ~ コロコロ~♪
「おっ落ち着くのじゃココ!コホンッ。この【スキルオーブ】は使用した者に能力を……能力名は……まあ名前は何でもよいか。とにかく使用した者の血を浴びた相手を従わせるっていう能力を得る球なのじゃ」
念の為スキルが使える期間を1日だけに設定しておいたし危険はないじゃろ。そうじゃまた作るの面倒じゃし何個か【複製スキル】で予備を増やしておくかのぉ。
「従わせるのニャ? ココが血を出すのかニャ? 痛いの嫌いニャ……」
「ちょっとの血で充分だから我慢するのじゃ」
「ニャア……」
ココの耳と尻尾がしょぼんと垂れ下がっておる。可愛ええのぉ。
「わらわがここら辺に【土魔法】で小さくてあまり深くない生け簀を作るから少し避けておるのじゃ」
ズザザザザ
「次は海水を魚ごと生け簀の中に【転移魔法】で入れるのじゃ」
ジャパーーン
「よしこれでいいのじゃ、ココよ生け簀の中に自分の血を少し垂らすのじゃ」
「ニャア……怖いけど、お魚さんとお友達になりたいからココはいっぱい我慢するニャ……」
ココは右の中指を左の中指の爪でツンっと突っついた。一滴の血がポタリと生け簀の中に落ちた。
…………
「魔王様? これでいいのかニャ? ニャにもお起きニャいニャ……」
「まあもう少し待つのじゃ」(失敗かのぉ?)
すると突然魚達がバシャバシャと暴れ出した。
「魔王様! お魚さん達が暴れ出したのニャ!」
「そうじゃのう」(効いて来た様じゃの)
「ニャ? 魔王様! またお魚さん達が静かになったのニャ!」
「そうじゃのう」(むむダメか……)
「ニャ? 魔王様! お魚さん達がプカァって浮いてきたのニャ!」
「そうじゃのう」(うーむ、失敗かのぉ)
「ニャ? 魔王様! お魚さん達がまた動き出したニャ!」
「そうじゃのう」(あぶなくココの前で恥をかく所じゃったわい)
「ニャ? 魔王様!お魚さん達の体の色がさっきより白っぽくなっているニャ!」
「そうじゃのう」(おや?)
「ニャ? 魔王様! お魚さん達のお目目が真っ赤ニャ!」
「そうじゃのう」(嫌な予感が……)
「ニャ? 魔王様! お魚さん達の口から鋭い歯が生えてきたニャ!」
「そうじゃのう」(こ、これは……!)
「ニャ? 魔王様! どうかしたのかニャ?」
「い、いやなんでもないぞ」(もしかしてわらわの血が濃すぎたのか……)
「ニャ? 魔王様! もうこれでココとお魚さん達はお友達なのかニャ?」
「そ、そうじゃな、多分……大丈夫じゃな、ちょっと命令を出してみるのじゃ」
ここは生け簀に入り両手を広げた。
「みんニャー、ココの周りに集まってくるのニャ!」
すると魚たちはバシャバシャとココの周りに集まりだした。
「すごいニャ! すごいニャ! 魔王様ありがとうニャ、これでココとお魚さんたちはお友達ニャー」
と言い、両手でその中の一匹を救い上げ……パクリッと食べた……。
「なっ? ココ!!」
ウゲェェェェ
「……魔王様……このお魚さん美味しくないニャ……ココもう要らないのニャァ……」
その後ココはわらわが飲んでいた【トロピカルジュース】を飲み干した。
~魔王の回想 終わり
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