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第二話 コンティニュー残り9回
あれ? 私さっき盗賊に刺されたんじゃ? え? 盗賊? あれ? もしかして夢?
いや違う。確かに刺された感触あったしものすごく痛かった。そう死ぬくらいに。いや死んじゃったんだけどね、そもそもここどこだっけ? 馬車の中? 私は……舘 京香……いや今はルーララ。
そっかこれが異世界転生か。でもなんで急に前世の記憶が…死んだから思い出したのかな?
そういえば【コンティニュー残り9】って聞こえたけど、もしかしてゲームみたいに、やり直せるって事?
しかも後9回も。やったー助かったーー……でも待って今馬車の中って事はこの後盗賊達が襲ってくる? うそ! やだ!
どうしよう、どこからやり直せているんだろ……。
それにしてもさっきから【次の項目から1つ選んでください】【次の項目から1つ選んでください】って何度も五月蠅いわね。
今色々考え事していて忙しいのよ。誰? あら? なにかしら? 目の前にある半透明な板は?
――――――――――――――――――――
1・自分のステータスの素早さアップ
2・自分のステータスの攻撃力アップ
3・結界の指輪
4・念話スキル:Lv1
5・風魔法スキル:Lv1ウインドカッター
――――――――――――――――――――
これはっ? うーん、ゲームっていうかラノベでよくある他人には見えない板ってやつかな? どれか選べばいいのかしら?
とりあえず何が何だか訳も分からず一番上の【自分のステータスの素早さアップ】を選んだんだけどちょっと後悔。
でももしかしたら盗賊が突入してきた時にどさくさに紛れて外に逃げられるかもって思ったんだけど意味がなかったわ。
だって抱っこされているし……。
私が動こうとすればするほどメイドのネネさんが落とすまいと強く抱きかかえるのよ。もう仕事熱心なんだから。
まあそもそも赤ちゃんが外に逃げたところでって事なんだけどね。
で、どうすればいいのかしら? などとずっと悩んでいると……。
「襲撃です。車の中から出ないでください」
えっ? もう……? 悩みすぎたみたい……。
ドカッ ガツンッ グサッ
「男はいらねぇーー殺せーーー」
「いやだまだ死にたくない」「た、たすけてーー」「たっ、頼む、わっ、私だけでも見逃してくれ!」
グサッ ズサッ グサッ ズサッ
「よし今だ! ドアを壊せ! ヒァッハーーーー! 俺が一番乘りだぜー」
ガンッ ガタンッ
「ぉんぎゃー? おんぎゃーおんぎゃーおぎゃあぁっ」(ええーー? まってよまだなにも対策練ってないのよっ)
そして先ほどと同じく盗賊が入ってきて、盗賊の持っていた剣が私の胸を貫抜いた……。
グサッ
「あうっ」(うぐっ)
また殺されてしまった……。
【コンティニュー残り8】
【次の項目から1つ選んでください】
――――――――――――――――――――
1・自分のステータスの防御力アップ
2・自分のステータスの攻撃力アップ
3・結界の指輪
4・念話スキル:Lv1
5・風魔法スキル:Lv1ウインドカッター
――――――――――――――――――――
パチッ
はっ! よかったわ。項目が補充されるのね。それにしてもこの半透明の板、皆には本当に見えていないのかしら?
チラリとネネさんの顔を見てみた『にゃー?』って顔をされたが、どうやら半透明の板は見えていないようだ。
それはそうとさっき体験した感じだとコンティニューして戻った時の時間が盗賊が襲ってくる30分前くらいなのよね。
余り悩んでいる時間がないわね、うーんって事で【自分のステータスの防御力アップ】を選んでみたわ。
もしかしたら剣が刺さらないんじゃないかと思って……。
…………
「ヒァッハーーーー」
グサッ
「あうっ」(うぐっ)
浅はかだったわ、赤ちゃんごときの防御力なんてたかが知れているって事ね。またグサッって刺されたわよ。
【コンティニュー残り7】
【次の項目から1つ選んでください】
――――――――――――――――――――
1・自分のステータスの魔力アップ
2・自分のステータスの攻撃力アップ
3・結界の指輪
4・念話スキル:Lv1
5・風魔法スキル:Lv1ウインドカッター
――――――――――――――――――――
パチッ
次はもうステータスアップ選ぶのは止めて【念話スキル】にしてみたわ。
すると頭の中に【念話スキル】の詳細が聞こえてきた。【Lv1:念話できる対象は1名。有効範囲は10M以内】
ふむふむ、なるほど、これで盗賊が襲ってくる事を両親とかに伝えることができるわ。
そして盗賊が来ない違う道を進んで貰えば無事ミッションクリアよ。私って頭いいわ。っと思っていたあの頃の私におバカさんと言いたい……。
「あうあ」(念話)
ます試しにネネさんに(盗賊が来るわ)って【念話】してみたところ
「??」って顔をされ
「奥様なんか変な声が聞こえにゃいかにゃ?」
「変な声ですか?」
「そうにゃー、今まで聞いたことのない言語で何か聞こえてくるのにゃ、怖いのにゃー」
って言われちゃった……関係ないけど尻尾がフリフリして可愛いわ。
なるほどこっちの世界の言葉は分からないからどうしても日本語になっちゃうのよね。ちなみに英語でも【念話】してみてけど無駄だったわ。
そして時間切れ……ヒァッハーさんが入られました。
グサッ
「あうっ」(うぐっ)
【コンティニュー残り6】
【次の項目から1つ選んでください】
――――――――――――――――――――
1・自分のステータスの魔力アップ
2・自分のステータスの攻撃力アップ
3・結界の指輪
4・サーチスキル:Lv1
5・風魔法スキル:Lv1ウインドカッター
――――――――――――――――――――
パチッ
ならばと思い【風魔法スキル】を覚えることにしたの。
【風魔法スキル】の詳細が聞こえてきた。【Lv1ウインドカッター:手から風の刃を飛ばす。威力は込める魔力に比例する】
よしこれで戦えるわ! 盗賊が来たわ。
「よし今だ! ドアを壊せ! ヒァッハーーーー! 俺が一番乘りだぜー」
ガンッ ガタンッ
手を盗賊に向けて
「あうあうあったーーー」(ウインドカッター)
これで盗賊なんかスパスパと切り刻んでやるつもりだったのよ。
本当ならここで無双した後、ああ初めて人を殺めてしまったわって後悔する展開かと思ってたんだけど。
でもなんてことでしょう……なんか手から『ヒュンッ』とかまいたちっぽいものが盗賊に向かって飛んでった後に、盗賊から『なっ』とか『うっ』って聞こえたけどその瞬間、私の身体から力が一気に抜けるような感じがして何か眠くなってきて気を失ったのよ。
多分異世界ラノベでありがちなMP枯渇ってやつかしら? 次に目を覚ました時には目の前に半透明な板があったのわ。結局殺されたみたいね。一人くらい盗賊は倒せたのかしら? まあ意味ないけど……。
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