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第六話 もしもし私赤ちゃん
「あうーあうあ・あーうあ!」(ステータス・オープン)
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名前:ルーララ・フォン・オフィウクス(オフィウクス王国第1王女、転生者)
年齢:1歳
性別:女
レベル:10←New(5→10)
HP:10←New(5→10)
MP:30←New(20→30)
攻撃力:1
防御力:10←New(5→10)
魔力:30←New(20→30)
素早さ:10←New(5→10)
運:1
装備:豪華だけの趣味が悪いよだれかけ
:ラベンダーな香りのおむつ
:悪徳商人に旨い事騙されて買った成金趣味のベビー服(百式仕様)
:結界の指輪
スキル:コンティニュー(ユニーク)1/10
:念話スキル:Lv1
:風魔法スキル:Lv1ウインドカッター
Lv2ワイドウインドカッター←New
:サーチスキル:Lv1
:召喚魔法スキル:Lv1転移召喚
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やったー! レベルアップしている。気絶する間際に聞こえたどこかで聞いたことのある効果音はやっぱりレベルアップの音だったんだ。
風魔法スキルも新しい技覚えている
【Lv2ワイドウインドカッター:両手から広範囲の強力な風の刃を飛ばす。威力は込める魔力に比例する】
なるほど、まあそのまんまよね。よしじゃあ次は、窓の外にちらりと見えたイケメン黒髪少年に――。
「あうあ」(念話)
(こんにちわ はじめましてかしら? 私はオフィウクス王国第1王女ルーララ・フォン・オフィウクスです)
「えっ?」
馬車の窓から見える黒髪少年はきょろきょろしている。
(これは私のスキル【念話】を使ってあなたに話しかけているの)
「えっ? ルーララ・フォン・オフィウクスって今、馬車の中で親指をしゃぶっている赤ん坊の?」
(あら? ごめんなさい、お恥ずかしいわ。ええそうよその可愛らしい赤ん坊よ)
「……」
(信じていないような顔ね、今、日本語で【念話】しているんだけど、なんか気づかないかしら?)
「……もしかして僕と同じ転生者さんですか?」
(あたり! それで早速だけどお願いがあるの、時間が無いのでとりあえず私の話を聞いてちょうだい)
「わかりました」
(まずは、貴方は勇者様って事でよろしいのですよね?)
「はい」
(よかったわ! それで実はもうすぐ盗賊……の姿をしたゾンビなのか魔物なのか知らないけど、そんな奴らがどこからか沢山襲ってくるの)
「!?」
(しかも中に魔人族もまじっているのよ)
「なっ、くっ、生き残りが居たのか……」
(ん? それで勇者様は馬車の守りを離れて一人で魔人族を倒しに向かうのだけど、残った騎士団じゃ盗賊もどきに勝てないってわけなの。特に騎士団長は逃げ出そうとしちゃうのよ、そして当然馬車の中にいる私たちは……)
「まるで観てきたような言い方ですね? もしかして【未来予知】とかのスキル持ちですか」
(いいえ違うわ、私が持っているのは【コンティニュー】って言うユニークスキルよ。能力は死んでも時間を少し戻って何度かやり直せる能力。そして今回が最後のチャンスなの、多分もうやり直せない……)
「最後……ですか。それで僕は何をすればいいのですか?」
(最初は勇者様に盗賊の事を教えて、そのことをパパとかに伝えて道を変更してもらうか、引き返してもらおうと思っていたんだけど、もう【コンティニュー】が使えない今、今までと全く違う状況になることはリスクが高すぎると思うの)
「確かに」
(なのでこのまま、今までと同じこの道を進もうと思うの。ただし勇者様には魔人族を倒しに行くのは止めて馬車を守ってほしいの)
「でもそれじゃあ魔人族は誰が相手を?」
(私の感だけど魔人族が一人で遠くに居るのは勇者様をおびき出す為にわざと離れているんじゃないかと思うの)
「なるほど」
(だからまずは騎士団だけでは勝てない盗賊もどき達を殲滅させてから魔人族を倒しに行けばいいと思うんだけど、どうかしら?)
「わかりました」
(ありがとう、じゃあ勇者様を馬車の中に【転移召喚】するわね)
「え? 【転移召喚】も使えるんですか? すごいですね」
(えへへ)
「でもわざわざそんなことしなくても、僕はその馬車の隣に居るのですから普通にドアを開けてお邪魔すればいいのでは?」
(あっ……)
その後、勇者様は御者に言い馬車を止めてもらい、パパに許可を取り馬車に入ってきた。
「勇者殿、何かあったのかね?」
勇者様は私をジッと見つめて口を開こうとした。あれ? でもなんだかすごく眩しそう……。どうしたんだろ?
「実は……」
(勇者様、私の事はパパ達には内緒にしておいてください、色々パニックになりそうなので)
「……わかりました。王様、実は僕の【探知スキル】に沢山の敵の反応がありました」
「なんだって!? 盗賊かね?」
「いえ、この反応は多分ゾンビやグールだと思われます。後……魔人族も……」
「まっ魔人族が……、でも魔人族は勇者殿が……」
「申し訳ございません、生き残りがいたようです」
「そうか、わかった、ではまずどうすればよい? 何か良い策でも?」
「はい、僕と騎士団全員で馬車を襲ってくるゾンビ達をまずは殲滅します」
「ふむ」
「騎士団の中には【火魔法】や【聖魔法】を使える方もいらしたと思うので、その方たちを軸に馬車を囲んで守るように騎士さん達は3人1組で一匹の敵に当たってください」
「勇者殿はどういたす?」
「僕は目に入る敵を片っ端から倒していきます。あと、そうだ僕の【アイテムボックス】の中に【ポーション】や【聖水】が数本あるので使ってください」
「ありがとう、わかった、では作戦を騎士団達にも説明しよう」
騎士団達の中には敵がゾンビや魔人族と聞いて震える者達もいた。一番震えていたのは騎士団長だけど……。
(勇者様、これを持って行ってください。相手が魔人族ならお役に立つかもしれません)
「これは?」
(【豪華だけの趣味が悪いよだれかけ】です。 あっ! 間違えました、こんな私のよだれだらけの物なんかいりませんよね)
「あっ…」
(こっちでした、これは私が持っていても、たかが知れていますので)
「ありがとうございます」
この一連のやり取りをパパ達は不思議そうな顔で見ていた。その時騎士団の一人が叫んだ。
「敵襲ーー!! 敵襲ーー!!」
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