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第七話 赤子の手は捻らせない
ガキンッ バギッ ズガッ ボァン スパン ドタッ バタッ
どのくらい時間がたったのだろうが?
ズキンッ ガギッン スパンッ ボァン スパン ドタッ バタッン
騎士団達は頑張った。でも敵の数が多すぎた。始めは優勢だったが頼みの綱の魔法を使える騎士達のMPが切れると一人また一人と倒されて行った……。
流石に勇者様は【聖剣】が無くてもゾンビやグールごときは相手ではなかったのだが追いつかない。
ガンッ ガタンッ
とうとうゾンビの1人が馬車のドアを壊し中に突入してきた。
あっ! いつものヒャッハーの人だ。
「あうあうあったーーー」(ウインドカッター)
ヒュン
「ぐはっ」
私が魔法でゾンビを真っ二つにするとパパ達は驚いた顔で私を見ていた。
ヒャッハーの人は倒したけどその後に他のゾンビ達も入ってきた。もう一発
「あうあうあったーーー」(ウインドカッター)
ヒュン
「ぐはっ」
「ルーララ様! わたくしも加勢いたします」
グサッ
「うぐ」
「ネネもやるにゃーー! これでもくらうにゃーー」
グサッグサッ
「うわ」「ぐわ」
セバスさんはなんかほっそい剣でゾンビを穴だらけにし、ネネさんはメイド服のスカートの中からなんか変なデザインのナイフを2本出し投げつけた。
ナイフの手で持つところを握ると『ニャー』って音の出る、絶対暗殺にむかないナイフだ。私は欲しいけど。
2人とも戦えるのか強いじゃないの、あーそっか、いままで私がすぐ盗賊に捕まって人質になっていたから2人とも攻撃できなかったのかぁ。
スパンッ ドガッ
「お怪我はありませんか!」と勇者様と騎士団長が大慌てで中に入ってきた。
おや? 今回、騎士団長は逃げてなかったのね。ちょっとだけ見直したわ。ちょっとだけよ。
「すいません、少し目を離した隙に突入を許してしまいました」
「勇者殿、頭をあげておくれ。大丈夫だセバスとネネと、後……わしの娘が撃退してくれたので怪我はない」
「そうですか、良かったです」
「それで外の様子はどうじゃ? 随分静かになった様じゃが」
「はいゾンビやグールたちは全員倒せました」
「ではあとは……」
「――はい魔人族だけです、騎士団の皆さんは念のため馬車の守りをお願いします、僕は1人で魔人族を倒してきます」
「たのんじゃぞ」
「あうあぅあぅ」(気を付けてね)
「はい! では行ってきます」
ネネさんは私を抱きかかえて
「にゃぁ、ルーララ様の年齢で魔法使えるのはすごいにゃん」
「確かに流石ルーララ様でございます」
もしかしてこれで生き残れるんじゃない?
そして生き残った騎士たちは倒したゾンビやグール達を一か所に集めて油をまき火を付けた。
亡くなった騎士たちの遺体は本人と分かる遺品だけを集め、こちらも火葬した。
火葬や浄化せずに放置すればゾンビウィルスが発生する可能性があるからだとか。
「騎士団長よ、何名の騎士が戦死したんじゃ?」
「は、はん分……の6名……です」
「そうか……そんなにか……」
「うっぐっ」
「どうした? 顔色が優れない様じゃが……疲れただろう。向うで休んでもよいのじゃぞ?」
「……いえ……だい……丈夫……デス」
「無理するでない、旅はまだ続く。娘の護衛がてらに馬車の所で休んでいなさい」
「ヴぁかり……ま死た……」
☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆
私は一人で馬車の中でお留守番していた。
いくら王族でも人手が足りないこの状況でパパたちも馬車の中でくつろぐわけにもいかず、
パパは外で指示だしや遺品整理。ママは【浄化魔法】を使えるので汚染されている地面などの浄化処理などを手伝っていた。
セバスさんとネネさんはパパとママの護衛。
はぁ、一気に暇になったわ、まあ今まで時間に追われていたから赤ちゃん的にはお昼寝の時間よね。
それにしても五月蠅いなぁ。何とかならないのかしら……お昼寝出来ないじゃないのよ。
でも私が王女様か……第1王女って事は長女よね、でも男の兄は居る可能性があるわね。
そこら辺どうなのかしら?私はあまり詳しくないけど王族全員で旅ってよっぽどだと思うし、お兄様くらいお留守番で居そうな気がするわ!
でもパパもママもまだ若そうだし居たとしてもそこまで歳は離れてなさそうね。
あっ? 待って、こういう世界だし王族だからきっと妾の子とか要る可能性もあるわね。
腹違いの弟……溺愛しちゃいそう……ふふふ。
…………
そういえば勇者様遅いわね、相手強いのかしら?
魔人族って言っていたけど、やっぱり頭に角があって翼が生えてて、後は尻尾があったりするのかしら?
そしてきっと『グヘヘヘッ』とか『人間の分際で』とか言ったりするのよね。
あっ、でももし女の人の魔人族だったら勇者様にエッチな事しようとしちゃうかも……大変だわ!
「あーう、あぅーううっ」(サーチ、魔人族)
「……」
反応なし、もう勇者様が倒したのかしら? まあ有効範囲が10mしかないから範囲外なのかも。あっそうだ念のため
「あーう、あうう」(サーチ、盗賊)
「……」
反応なしと、じゃあ次
「あーう、あぅんう」(サーチ、ゾンビ)
ピコンッと地図に赤い点の反応が出た、私のすぐ近くに
「ふぇっ?」(へっ?)
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