医務室から呼び出し

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医務室から呼び出し

「失礼します」  三浦は足早に自分のデスクに向かって歩き出した。 その様子を伺いながら、微笑した高橋が呟いた。 「もしかして、また医務室からの呼び出しかも知れんぞ?」 「まさか⁉」  三浦は受話器を握った。 「ハイ、朝田の秘書でございますが、えぇ私でございます。ハイ、分かりました、直ぐに伺います」  三浦は溜息とともに受話器を下ろした。 「専務、おめでとうございます。ピンポンです!」 「だろ~朝田の奴、ホント気儘(きまま)なんだから」 「私、行ってまいります。専務、ドアを施錠いたしますので申し訳ございません、ご退室お願いできますか?」 「えっつ、ここは俺の部屋だよな?」 (高橋専務はこの部屋を訪れた際、今日の月曜日を間違えていた。大丈夫かなこの会社) 「それはそうと専務のワクチン接種日は何時(いつ)なんですか?もうお決まりですよね?」 「おぅ、決まってるよ・・確か・・うん?そうだ月曜日だ、そう月曜日だった。」 (秘書課からの情報では、役員が医務室で受けるワクチン接種期間は、今週の一週間だけだ。だから高橋専務の『月曜日だ』が正しければ正に今日じゃないの)  三浦は今置いたばかりの受話器を握ると迷わず秘書課に確認した。 「三浦です、高橋専務担当の山田さんはいらっしゃいます?」 「山田は土曜日から連休だけど・・どうした?」 「高橋専務のワクチン接種日を教えて頂けます?」 電話の向こうの秘書室ではなにやら怒鳴り声が聞こえる。 「お~い隅田、お前山田の代役だったよな、高橋専務のワクチン接種日分かるか? 三浦ちょっと待ってくれ・・隅田、まだか? なに?月曜日の11時?・・今日じゃないか!」 「課長、私いま高橋専務とご一緒なんでこれからお連れ致します。私も医務室に用がございますので」 「すまん!」
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