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休みの前日は金曜日?
三浦は、高橋専務に事情を話すと、二人で朝田の部屋を後にした。
先を急ぐ三浦は、足を止めることなく時おり振り返っては高橋に何やら話しかける。
「専務、失礼ですが今日何曜日かお分かりですよね?」
「金曜日だろ?だって明日、俺休むんだよ」
「明日は火曜日ですよ。どうして明日が休みなんですか?」
“ピンポン!” エレベーターの到着音が鳴った。
「専務、お乗りになってください。私が操作しますので、どうぞ」
「すまん・・」
高橋の『すまん』には先ほどまでの覇気が消えた。三浦が尋ねた『どうして明日が休みなんですか?』の答えを今も尚、模索しているようだ。
「そうか、会社からワクチン接種の翌日は休むように言われていたんだ」
「ワクチン接種は今日、だから明日は特別休暇、でもお休みの前日と言えば通常は金曜日ですものね」
「そう、三浦君それだよ、これで謎が解けたよ、いゃ~すっきりしたよ君のお陰だ有難う。」
(だったら朝田を訪ねて来た時に『あいつ昨日ワクチン接種したんだろう?』と言ったのは何だったんでしょう? 嫌!もう、これ以上考えるのは止め!私のCPUが壊れそう。ホント大丈夫なんだろうかこの会社?)
医務室のドアを開けると、そこは待合スペースなのか小さな窓口とその前にはソファーが用意されていた。
「専務、どうぞお掛け下さい」
高橋をソファーに座らせて三浦はその小さな窓口から声を発した。
「お待たせしました、朝田部長の秘書で三浦と申します」
「いゃ~お呼び立てして申し訳ございません。どうぞお入りください」
医師は待ちわびたのか、直ぐに言葉を返した。
「先生、すみません、11時予定の高橋専務をお連れ致しましたので、受付お願いできます?」
「それはどうも・・佐々木君、こちらも受付頼みます」
「それで、朝田部長はどちらに?」
医師は処置室を指さし案内した。
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