逃鳥侍

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逃鳥侍

 むかし、東の国の皇帝は書物をたいそう(とうと)いものとみなしており、文字と文字のあいだ、あるいは黒くほそい文字の上に、かすかな(ほこり)でもかぶっているのを許しがたく思われた。  そのために宮廷につかえたのが、逃鳥侍(にげとりのないし)という職のものである。  皇帝が()るその巻物の紙上(しじょう)で、9色の孔雀(くじゃく)の羽がそよいだ。
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