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ここに、初めて人間界に向かおうとしているお菓子の妖精がいました。アンという女の子です。アンは今、両親から大事なことを教わろうとしているところでした。
「いいか、アン。人間界に行ったらとにかく人間にお菓子を食べさせまくるんだぞ」
アンのお父さんが言いました。アンは真剣に聞き入っています。
「では今からアンに、人間にお菓子を食べさせる魔法の呪文を教える」
「はい!」
「その魔法の呪文とは、『食べちゃいなよ!』だ! ほら、言ってみろ!」
「『食べちゃいなよ!』」
アンは大きな声で復唱しました。
「もう一回!」
「『食べちゃいなよ!』」
「もう一回!」
「『食べちゃいなよ!』」
「……よし、これで呪文はばっちりだ。この呪文をお菓子の前にいる人間の耳元でささやくと、人間はすぐにお菓子を食べるからな。では、頑張ってこいよ!」
「はーい!」
アンは元気に旅立ちました。
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