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アンは頭に血が上りながらも、目的のために街にむかいました。お菓子屋を作れる人間を見つけ、友達になり手を組もうとしました。
街中には、お菓子を眺めている人がたくさんいました。クレープ屋の前、カフェの前、ケーキ屋さんの前……
(ああ、『食べちゃいなよ!』って言いたーい! だけど駄目よ! 『食べちゃいなよ!』は封印するわ!)
アンは呪文を言うのをこらえて、探しました。友達になってくれる人間を。
「できた! 写真写真っと」
とある女の人が台所でケーキを作っていました。
「あれ?」
女の人のスマホのカメラに、小さい妖精が映りました。
「あなたは?」
「こんにちは! 私はお菓子の妖精のアンです! あなたのお菓子、とっても素敵よ! このお菓子を広めるために、お店をやらない?」
女の人はぶんぶん首を振りました。
「そんな、お菓子作りなんてただの趣味よ。こうしてブログで写真で見てもらえればそれで十分……」
「本当に? 本当にそれで満足なの? 写真だけなら見た目しか伝わらないわ。味も素晴らしいのに、もったいないわ。お店をやるべきよ!」
「え……そりゃ、お店ができたらいいなと、思わなくもないけど……」
「だったら、やりましょうよ! 大丈夫! 私も一緒よ!」
こうしてアンは、地道な一歩を踏み出したのです。
おわり
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