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 プレゼンの資料の添削にはほぼ一日かかった。というか一から作ったようなものだ。  残業に残業を重ねたせいで、会社にはもう誰もいない。  外は真っ暗だった。 「あの、遅くまで付き合わせてしまってすみませんでした」 「いいよ、もう。久々に仕事したって気になったし」  私は口から魂が抜けて、ただの企業戦士と化していた。戦場から舞い戻り、早くベッドで横になりたい。 「東条先輩って同じ路線でしたよね。うちまで送っていきます」 「いいよ。片岡くんの帰りが遅くなちゃうし」 「で、でも、女性が一人でこんな遅くに歩くなんて危ないと思うんです。申し訳ない気持ちもあるんで、送らせてください!」
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