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「ねえ、覚えてる?」
「すみません、忘れました!」
「ハァー……」
清々しいほど正直な後輩の返事に、私は長いため息を吐く。
「すみません。お忙しいとは思いますが、もう一度教えてください!」
本当に申し訳なさそうな顔をして、彼は私を見た。
私はやれやれと肩を下ろしながらデスクの横に立ち、パソコンの画面を覗く。
「もうこれで教えるのは最後だからね。ちゃんとメモとってる?」
「はい。ばっちりとっているんですが……」
「見して」
私は彼の手元から、まだ新しい黒い手帳を手にとった。片開き1ページがびっちり文字で埋め尽くされている。字は綺麗だけどめちゃくちゃ見づらい。
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